よくあるトラブルと添加剤の選択
成形加工時や、製造の過程においてよくあるトラブルと、その対処方法をご紹介いたします。
添加剤を選択する際にお役立てください。
よくあるお問い合わせ
- 成形加工時における
添加剤の影響 - 耐熱寿命の強化
- 耐候寿命の強化
- 変色
- 意匠性の低下
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耐候寿命の強化
Q6
フィラーや顔料を配合したときの耐候性に与える影響(顔料/タルク未配合との違い)は?
A6
フィラーや顔料が配合されると、配合されなかった時に比べて、耐候性能が異なる現象が見られます。フィラーや顔料が配合されると、光安定剤などの添加剤が吸着され、本来有する性能を発揮できなくなり、耐候性が低下すると推定されます。
対処方法
- 1
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フィラーに吸着されにくいHALS(アデカスタブLA-52、LA-72、LA-81など)を使用する。
顔料が配合された場合には、熱線が吸収され、表面温度が上昇し、光劣化だけでなく熱酸化劣化も併せて進行するため、耐熱寿命を考慮する必要がある。
- 2
- 酸化防止能の高いHALS(アデカスタブLA-52,LA-72)を使用する。
- 3
-
表面温度の上昇に伴って、添加剤の移行性が速くなるので、最適な分子量のHALSを選択する。例えば、顔料系では分子量が600〜1,000程度のHALSがよい(アデカスタブLA-52など)。
Q7
農薬などを使用した場合の性能低下(酸の影響)を防ぐには?
A7
農薬や塗料の硬化触媒などには酸性物質が含まれ、しばしば耐候性を低下させます。例えば、農業用ハウスに用いられるポリエチレンフィルムは、農薬などの影響でHALSを添加しているにもかかわらず、ほとんど効果を示さないことがあります。
また、熱酸化劣化を防止する目的で添加されるチオエーテル系酸化防止剤からは、酸性物質が生成しHALSとの併用効果が低下するので注意が必要です。対処方法
- 1
- 塩基性の低いHALS(アデカスタブLA-81)を使用して、酸性物質の影響を受け難くする。
Q8
使用温度の影響は?
A8
高温の環境では熱酸化劣化が進行しやすくなり、顔料を添加した時と同様に、熱酸化の因子が大きくなります。また、高温で使用される用途にはチオエーテル系酸化防止剤を併用することがありますが、耐候性向上の目的で添加されているHALSの効果が低下しますので注意が必要です。
対処方法
- 1
- 高温での使用の場合は、添加剤のフォギングや移行性に注意しながら,熱酸化劣化抑制能力の高いHALS(アデカスタブLA-52、LA-63Pなど)を選択する。
- 2
- 高温で使用され、かつ光安定性が要求される用途では、チオエーテル系酸化防止剤を使用し、低塩基性HALS(アデカスタブLA-81など)を併用すると効果的。