ADEKA「新研究棟」を建設
~イノベーティブな新製品創出の場となる研究開発体制を構築~
2023年11月22日
ADEKAは、情報・電子化学品分野の研究開発力強化を目的に、久喜地区開発研究所内に研究棟(以下、「新研究棟」)の建設を決定しましたのでお知らせいたします。
総工費は約100億円で、2026年1月に完工予定です。
5G・ICT化の進展やデータセンターの拡張など、半導体の潜在需要は引き続き強く、今後、回復基調に入っていく見通しです。また、大容量化や消費電力削減などのニーズを背景に、半導体では微細化などの技術革新が進行しています。
ADEKAは、2030年のありたい姿「ADEKA VISION 2030 ~持続可能な社会と豊かなくらしに貢献するInnovative Company~」の実現に向けて、事業拡大を進めています。情報・電子化学品事業の中核を担う先端半導体向けALD※材料および周辺材料のさらなる拡大、半導体パッケージ(後工程向け)のプロセス材料を大きく飛躍させるため、本建設の決定に至りました。
新研究棟は、化学品研究開発の技術を深化・融合し、最先端半導体材料を開発する基幹研究所として、情報・電子化学品事業の拡大に向けた研究開発の中核を担っていきます。また、機能化学品事業では、素材提供型から、市場全体でのゲームチェンジに欠かせない素材を提供する課題解決型のビジネススタイルに変更し、モビリティやエレクトロニクス市場に求められる性能・製品をタイムリーに提供していきます。
また、韓国・ADEKA KOREA R&D センターや台湾艾迪科精密化学をはじめとした国内外の各拠点で半導体製品の評価・分析・成膜プロセスを確立するなど、グループ会社との協働や緊密な社内連携のもと、盤石な研究開発体制でイノベーティブな新製品の創出に取り組んでまいります。

※原子層堆積法(atomic layer deposition)。半導体製造プロセスにおいて、極めて薄い膜を形成する方法。ALD材料は、先端半導体の製造プロセスに必要不可欠な材料。
概 要
所在地 |
埼玉県久喜市菖蒲町昭和沼20 |
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総工費 |
約100億円 |
規 模 |
地上7階建 鉄骨造 |
主な施設 |
研究所実験室、クリーンルーム、分析室、会議室 他 |
施 工 |
株式会社大林組 |
スケジュール |
着工:2024年4月 完工:2026年1月(予定) |
新研究棟の特長
最大の特長は、ワンフロア850平方メートル超のクリーンルームです。拡張性・自由度が高く、お客様のニーズを捉えたタイムリーな新製品開発を実現します。また、「技術の融合」、「研究員の健康・安全」、「環境への配慮」をコンセプトとした次世代の研究施設として、将来を見据え、利便性、環境に配慮した機能を付与しています。
また、新研究棟は省エネルギーや環境負荷の低減に配慮した設計で、基本設計時点での評価検討ではCASBEE(建築環境総合性能評価システム)※のAランク以上を取得できる見込みです。
※建築環境総合性能評価システム(Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiency):建物の環境性能を総合的に評価、格付けする手法で、一般財団法人住宅・建築SDGs推進センターを中心に開発が行なわれています。
コンセプト
技術の融合 |
研究員同士が技術交流を図り、新製品・アイデアを常に創出できる施設 |
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健康・安全 |
社員が、安全で健康的に働ける環境を提供 |
環境への配慮 |
省エネルギーや地域環境への配慮など、環境負荷の低減を図り、快適な研究開発環境を整備 |

新研究棟で開発する製品とその背景
新研究棟は、先端半導体向けALD材料や周辺材料、さらには 半導体パッケージ(後工程) のプロセス材料の新製品を開発するための基幹研究所として、情報・電子化学品事業の拡大に向けて研究開発の中核を担っていきます。
今後拡大が予測されている半導体パッケージは、2.xD ~ 3D実装など集積化が進むと予測されており、その際に必要なインターポーザ、絶縁材料、アンダーフィル材料などの開発が活発化しています。後工程のプロセス材料開発には、各研究所の情報網や技術を融合して取り組む必要があり、今後これらの開発テーマを確実に実需に結び付けていきます。新研究棟では、DRAM、NAND、ロジック向け新規 ALD 材料の開発や、成膜助剤の基本設計、基礎評価、材料適合性など、ALD 材料の基本的な設計に注力します。
また、海外の研究開発拠点にあるADEKA KOREA CORP. R&D センターは、新研究棟で開発した最先端材料、新しい反応ガスや成膜助剤を用いた新規成膜プロセスの確立に対応していきます。
将来の成長に向けて積極的投資を推し進める韓国、先端ロジック半導体向け材料の生産・供給が可能となった台湾の海外拠点、また、光酸発生剤の生産設備が竣工した千葉工場などから、最先端の材料を提供していきます。そして、緊密な社内連携のもと、領域拡大を推し進め、世界トップの半導体材料メーカーを目指してまいります。