CSR Report 2016

第三者意見

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グローバル・レベルのCSRに向けて 高崎経済大学経済学部 教授 水口 剛氏 高崎経済大学経済学部教授。経営学博士(明治大学)。
専門は、責任投資、非財務情報開示。
1997年高崎経済大学経済学部講師、同准教授を経て、2008年より現職。 環境経済・政策学会監事・理事、中央環境審議会・環境と金融専門委員会委員、日本公認会計士協会・環境会計専門部会部会長などを歴任。著書に、『責任ある投資−資金の流れで未来を変える』(岩波書店)、『環境と金融・投資の潮流』(編著、中央経済社)などがある。
高崎経済大学経済学部 教授 水口 剛氏

CSRを本業に組み込むということ

 1917年の創業以来、それぞれの時代のニーズに応えつつ事業を発展させてきた貴社の100年の歩みに敬意を表します。今回、特集で取り上げられているさまざまな樹脂添加剤は、目立たないけれども重要な役割を果たしており、まさに事業を通じて社会に貢献していると言えるでしょう。本業を通じた価値の創造はCSRの原点だと思います。
 一方で社会的責任の範囲は、その企業の影響力の大きさに比例する面があります。貴社は、2025年のありたい姿として「先端技術で価値を創造するグローバル企業」というビジョンを描かれています。それを目指すのであれば、社会における責任もより重くなるものと思います。これまでも環境保全や従業員の働きやすさなどの面で誠実に取り組まれてきたと評価しますが、今後も今までの延長線上で良いのか。真のグローバル企業として世界で認められるためには、社会が共有する課題により幅広く取り組む体制づくりが必要ではないでしょうか。そのような観点から、以下2つの点を指摘したいと思います。

食の安全を扱う企業として

 2015年にはCSRに関連する2つの大きな国際合意がありました。1つは国連による持続可能な開発目標(SDGs)、もう1つはCOP21におけるパリ協定です。企業としてもこれらの国際的な目標にいかに貢献するかが問われます。特にパリ協定では、地球の平均気温上昇を2℃より十分に下回る水準に抑えることで合意し、今世紀後半には人為的な温室効果ガスの排出と吸収を均衡させるとの目標を示しました。実質排出ゼロを目指すというこの目標は、これまでのビジネスの前提そのものを大きく変えるものと言えます。それに対する準備は十分でしょうか。たとえばCDPやグローバルコンパクトなどは共同で2℃目標と整合性のある「科学的根拠に基づく目標(Science Based Target)」の策定を求めています。このような国際的な活動に参加することも検討課題の1つだと思います。

バリューチェーンとCSR経営

 ESG(環境、社会、コーポレートガバナンス)問題の中で、近年関心が高まっているものの1つがサプライチェーンのリスクです。例えば貴社では、食品事業の原材料としてパーム油が使われていますが、パーム油は熱帯林破壊との関わりが懸念される代表的な原材料の1つですから、調達先の選択には十分注意する必要があります。また、半導体材料などの分野で鉱物資源を使うとすれば、採掘時に生物多様性の毀損がないかどうかも気になります。そのほか、サプライチェーンにおける強制労働の有無など、一般にリスクがあると思われている問題については個別に取り上げて対応状況を説明されると良いのではないでしょうか。
 これまでCSRに真摯に取り組んでこられた貴社だからこそ、ぜひ、さらに進んだCSRを目指してほしいと願っています。

第三者意見をいただいて

 ADEKAグループのCSR活動に関して、評価と貴重なご意見をいただき、感謝申し上げます。 今回のレポートでは、本業を通じて豊かなくらしに貢献するという当社グループの使命をお伝えするため、コア事業の1つである樹脂添加剤事業のグローバルな「研究・生産・販売」の取り組みを特集で掲載しました。水口先生にご評価いただいたことは、今後の励みとなりました。
 一方で、ご意見をいただいた「国際的な目標への貢献」と「サプライチェーンのリスク管理」については、当社グループのCSR活動をグローバル・レベルで推進していくための重要課題と受け止め、企業活動が社会に与える影響と社会が企業に求めていることを認識し、国際社会の一員としての責任を果たしてまいりたいと考えています。
 今後も、ステークホルダーの皆さまの期待に応えるべく、企業価値の向上と持続可能な社会の実現に向けてCSR活動を実践してまいります。

取締役執行役員 田島 興司