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CSR

第三者意見

本業を通じて普通以上の環境・社会配慮を

郡 昭夫

高崎経済大学経済学部 教授水口 剛 高崎経済大学教授。経営学博士(明治大学)。専門は責任投資、非財務情報開示。1997年高崎経済大学経済学部講師、同准教授を経て2008年より現職。環境経済・政策学会監事、環境省・グリーンボンドに関する検討会座長、ESG金融懇談会委員などを歴任。著書に『ESG投資―新しい資本主義のかたち』(日本経済新聞出版社)、『責任ある投資―資金の流れで未来を変える』(岩波書店)などがある。

製品を通じたポジティブ・インパクト

 今回の報告書で最も印象的だったのは、特集1で取り上げられた「人と環境に配慮したADEKAの化学品」です。塗料や接着剤に使われる揮発性有機化合物(VOC)はシックハウス症候群などの原因と言われますが、有機溶剤を使わない水系エポキシ樹脂の塗料などならば、そのリスクを抑えられます。塩ビに安定剤として重金属が使われていることは一般にはあまり知られていないかもしれませんが、重金属フリーの塩ビならば、重金属の環境中への蓄積を防げます。

 これらは製品を通じて社会の健康リスクを下げ、ポジティブなインパクトを与える優れた取り組みだと思います。このような取り組みをもっと拡げてほしいと思います。トルエンなどの有機溶剤や重金属はPRTRの対象物質ですが、将来的にはすべての製品でゼロを目指してもよいのではないでしょうか。

 よく「CSRとは本業そのもの」という言い方がされますが、それは単に「市場で売れる製品を提供することで社会に役立つ」という意味ではありません。社会のニーズに応え、役に立つ製品が売れるのは当然ですが、その上で、さらに環境や社会へのリスクや負の影響を削減し、課題解決につなげていくこと、それが「本業を通じたCSR」ということの意味だと思います。今回の特集では、その実例が見られました。

高まるESG投資家の関心

 近年は、本業と直結した環境や社会への取り組みを投資意思決定において考慮するESG投資の動きも強まっています。 ESG投資では、いわゆる社会貢献ではなくて、本業そのものが持つ環境や社会への影響に注目します。それらが規制リスクや評判リスク、さらにはサプライチェーンのなかで取引先から選別されるといった市場リスクにもつながるからです。

 従って企業としても、これからは、単に広報やIRの一環として報告書を作るというだけでなく、その前提となる戦略や経営計画のレベルから対応することが重要です。その点、貴社では今回、中期経営計画の基本戦略の一つに「CSRを推進し社会とともに発展する」を掲げ、組織的な体制の強化を図られたことはよかったと思います。ぜひ、環境や社会への配慮を企業価値に結び付ける「統合経営」へと進んでほしいと思います。

グローバル水準の取り組みを

 ESG投資という観点からはグローバルな課題への対応が欠かせません。例えば2018年の夏は、日本を含め世界中で豪雨や異常高温などの異常気象が相次ぎました。気候変動はいまや最も重要なグローバル課題です。貴社も省エネルギーの目標を立てて取り組んでおられますし、モーダルシフトの取り組みも評価したいと思いますが、もはや地道な省エネだけでは足りないほど、問題が深刻化しつつあります。昨年も述べましたSBTやRE100などのイニシアティブへの参加や、昨年公表された金融安定理事会の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言への対応を検討すべき時期と思います。

 パーム油生産に関わる森林破壊も重要なグローバル課題です。この点について、昨年RSPOに加盟し、今年サプライチェーン認証を取得されたのは大きな進歩だと思います。しかしRSPOも万能ではありません。他社では、森林破壊ゼロの調達方針を掲げ、現地の一次精製会社までさかのぼって改善活動をする例もありますので、貴社もさらに前進されることを期待します。

第三者意見をいただいて

 ADEKAグループのCSR活動に対して貴重なご意見を賜り、御礼申し上げます。当社が素材メーカーとして、お客様やその先の消費者全体に配慮ある製品を創出していくこと、また当社製品を通じて、社会的課題の解決につなげることを意識した事業活動をさらに推進していくため、社員一人ひとりの意識を高められるよう、全社をあげて「本業を通じたCSR」の意識浸透に努めます。

 昨今、お客様をはじめとするステークホルダーから、社会的課題を解決していくための具体的施策が求められています。我々にとって取り組む課題は何かをしっかりと見定めたうえ、各イニシアチブへの参加検討など、「ADEKAのCSR」を確立し、ステークホルダーの期待に応えられる企業を目指していきます。

 また、グローバルレベルでADEKAグループが社会的課題に取り組んでいくため、中期経営計画の基本戦略・施策に「CSRの推進」を掲げています。2018年度は、当社グループにおける重要課題の優先順位を定めて、企業価値向上に向けた施策の確立と体制構築をしっかりと推進していきます。

取締役兼常務執行役員田島 興司



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