よくあるトラブルと添加剤の選択
成形加工時や、製造の過程においてよくあるトラブルと、その対処方法をご紹介いたします。
添加剤を選択する際にお役立てください。
よくあるお問い合わせ
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変色
Q9
NOx変色はなぜ起こる?
A9
倉庫や車の通りが激しい道路沿いなどでは、変色したプラスチック材料をしばしば見かけることがあります。これは排ガス中に含まれるNOxガスによって、フェノール系酸化防止剤が酸化され、変色することが原因であるといわれています。
対処方法
- 1
- 変色しにくいフェノール系酸化防止剤(アデカスタブAO-80など)を使用する。
- 2
- ホスファイト系酸化防止剤を反応性の高いもの(アデカスタブPEP-36など)に代替する。
- 3
- ホスファイト系酸化防止剤を増量する。 ホスファイト系酸化防止剤
Q10
暗所黄変はなぜ起こる?
A10
ABSなどでは、暗所黄変が起こります。メカニズムは解明されていませんが、加工時の熱による熱酸化や初期の光酸化によって生成した、ラジカル種によって進行すると考えられています。
対処方法
- 1
- 酸化防止剤による加工時の安定性の強化(アデカスタブAO-80、PEP-36など)。
- 2
- 紫外線吸収剤(UVA) による初期光酸化の防御(アデカスタブLA-31、LA-36など)。 紫外線吸収剤(UVA)
- 3
- 光安定剤(HALS)によるラジカル種の捕捉(アデカスタブLA-52、LA-72、LA-81など)。 光安定剤(HALS)
Q11
光変色はなぜ起こる?
A11-1
ポリ塩化ビニルの場合 劣化によって脱塩酸が起こり、ポリエンなどの共役二重結合が増加すると変色します。
対処方法
- 1
- 脱塩酸した時に、速やかに安定化する適切なポリ塩化ビニル用安定剤を用いる。 ポリ塩化ビニル用安定剤
A11-2
ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレン)の場合 ポリオレフィンは、熱や光によって構造中の水素が引き抜かれ、自動酸化反応によって劣化が進行し、ポリエンが生成することによって変色します。
対処方法
- 1
- 熱酸化劣化を防止するホスファイト系酸化防止剤によって、加工時の安定化を強化。
- 2
- HALSやUVAなどの光安定剤を処方することによって、光劣化を抑制する。
A11-3
ポリカーボネートの場合 290nm付近の紫外線を吸収し、フリース転移といわれる光反応によって、フェニルサリシレート構造、さらにはジヒドロキシベンゾフェノン構造を生成して黄変します。
対処方法
- 1
- 紫外線吸収剤(UVA)の添加によって安定化する。高濃度のUVAを配合したポリマーの表面層を形成したり、ハードコート層にUVAを含有させたりすると効果的である。 紫外線吸収剤(UVA)
- 2
- 効果的なUVAは、ベンゾトリアゾール系やトリアジン系が挙げられる。
Q12
フィラーや顔料による変色はなぜ起こる?
A12
フェノール系酸化防止剤や紫外線吸収剤などフェノール基を有する添加剤は、フィラーや顔料の中に含まれる金属イオンとキレートを形成し発色する場合があります。
Q13
フェノールの変色はなぜ起こる?
A13
フェノール系酸化防止剤は、酸化されることによって生成するキノン系化合物が有色のため、しばしば変色を引き起こします。分解してフェノール基を生成するポリマーの場合も同様です。
対処方法
- 1
- 加工時の変色防止には、ホスファイト系酸化防止剤(アデカスタブPEP-36など)が効果的である。
- 2
- 分解によってフェノール基が生成するポリマーの場合は、ホスファイト系酸化防止剤により加工時の安定化を強化する。ポリマーが加水分解しやすい場合には、水分を除去し加工する。また、使用時にはUVAを配合し光分解を抑制する。